「17歳の肖像」に学ぶライフレッスン
2010.02.24 Wednesday | category:Drama
JUGEMテーマ:映画
映画評論家の間で評価の高かった、”An Education”を観てきました。期待通りに観ごたえのある映画でした。アカデミー賞のベスト作品10に選ばれたのもうなづけます。ちなみに、この間DVDが出た、”A Serious Man"を家で観たのですが、こちらはどうしてノミネートされたのか理解に苦しみました。「17歳の肖像」 は、ベスト作品以外に、脚色賞と、キャリー・マリガンが主演女優賞にノミネートされているのですが、彼女のスマイルを見ていると、必ずトム・クルーズ夫人のケイティ・ホームズをだぶらせてしまうのは私だけでしょうか。
舞台は、1960年代初めのロンドン郊外。中流の一般家庭に育つ、才色兼備の娘、ジェニーは、両親の期待を一身に背負って、オックスフォード大学を目指して、学校の勉強と音楽のレッスンに大忙し。何でもできるジェニーですが、唯一の弱点はラテン語。難しいですよね。
大学受験も間近に迫ったある日のこと、大雨の中、楽器を持ってバスを待っていると、ある紳士が車を横付けにして、送迎を申し出ます。言葉滑らかなビジネスマンのデイビッドに、音楽界や、高級レストラン、絵画のオークションにまで連れて行かれて、育った環境とは無縁の華やかな社会を見せられた17歳の少女が目的を見失うのに時間はかかりませんでした。
ディビッドを演じるのは、「ニュースの天才」 ”Shattered Glass"で、ゴールデン・グローブ賞の助演男優賞にノミネートされた、ピーター・サースガード。物腰柔らかな甘いマスクの年上の男性にはぴったりでした。
年代の設定から、レトロの車や、当時の独特のヘアースタイルやドレスなどを楽しむこともできますが、親が自分よりもいい暮らしを子供にさせたくて、必死にいい学校へやらせようとする気持ちは、いつの時代になっても色あせないものです。
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「マイレージ、マイライフ」が受けたのは、現在の高失業率のせいか?
2010.02.20 Saturday | category:Drama
JUGEMテーマ:映画
ゴールデン・グローブ賞では、脚本賞を取った、”Up in the Air"は、アカデミー賞では、作品賞を筆頭に、監督賞、主演男優賞、助演女優賞が二人と、脚色脚本賞の6部門でノミネートされています。「マイレージ、マイライフ」の方がわかりやすいタイトルですが、実際に、1年365日のうちに320日も空を飛んで仕事に行く人がいるのでしょうか?パイロットでももっと休んでますよね。でも、ジョージ・クルーニーが演ずる主人公のライアンは、マイリッジを千万マイル貯めることに情熱を燃やしているようです。それだけあれば、引退後は好きなだけヨーロッパ旅行ができてしまいますね。
出張の目的はというと、会社員の首を切ること。アメリカ各地を飛んで回る、解雇通達の専門家なのです。相手は決して年のいった人ばかりではありません。働き盛りの一家の大黒柱もいます。このあたり、昨今の未だに明るい兆しが見えないアメリカの失業率を反映していて、ドラマとはいえ、かなり現実味があります。
でもその仕事を、これまた今風に、何でもオンラインで解決しようとする、若い女性が新たに雇われ、ライアンの仕事に危機感を与えます。一方で、最近旅先でであった、キャリアウーマンで熟女の存在も気になり、今この出張仕事をとられてはたまりません。
若い女性社員を演ずるのは、新鋭のアンナ・ケンドリック。そして、愛人役は、ヴェラ・ファーミガ。この二人ともが、助演女優賞を競っているのです。6部門のいずれにも競合がいるので、この映画が手ぶらに終わる可能性は大ですが、映画の構成としては十分楽しめます。
ヴィクトリア女王の素顔に迫る映画「ヴィクトリア女王 世紀の愛」
2010.02.17 Wednesday | category:Based on true story
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王室、皇室がある国でいつも問題になるのはお世継ぎ。いつもタイミングよく次世代に引き継げるものではありません。大英帝国のヴィクトリア女王もその一人でした。”Young Victoria"は、若き少女時代のビクトリアが、まだ思春期も済ませてないころに英国王室のタイトルを継ぐことになった、運命の物語です。ゴールデン・グローブ賞では、主演のEmily Bluntが、ドラマ部門の主演女優にノミネートされていましたが、アカデミー賞では競合が多く、ノミネートされたのは、アート・衣装・メークアップの3部門でした。
エミリー・ブラントで、最近思い出す映画は、「サンシャイン・クリーニング」。エイミー・アダムスの妹役で、随分蓮っ葉な役どころでしたが、今度の「ヴィクトリア女王 世紀の愛」では、高貴な女王の役を、清廉な乙女時代から、とても気品よく演じています。これからの活躍が期待される若手女優さんですね。
若きヴィクトリアは、王位継承者ゆえに、普通の少女が経験する恋愛はおろか、お城の中でも制限の多い、至って不自由な生活を強いられます。そんな中、政略的なお見合いで、ルパート・フレンド演ずるアルバート王子と知り合うことになり、紆余曲折があって、やがて深く愛し合える夫婦となっていきます。
アルバートが亡くなってからも、ソファにいつも彼の洋服を並べ、一緒に時を過ごそうとするヴィクトリア女王。日本の陰膳ならず、陰服とでもいうのでしょうか。一人の人間を心から愛せる情熱的なヴィクトリアだったからこそ、長年にわたって最も栄えたとされるヴィクトリア王朝を維持できたのかもわかりませんね。
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「ハート・ロッカー」にオスカーをあげたい
2010.02.12 Friday | category:War
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イラク戦争が始まって随分になるので、すでに様々な映画が作られました。全てを観ているわけではありませんが、この”The Hurt Locker"はアカデミー賞受賞にふさわしい映画です。実に「アバター」と並んで9部門でノミネートされているというのもうなずけます。「ハート・ロッカー」がノミネートされているのは、作品賞をはじめ、脚本賞、監督賞、主演男優賞、編集賞、シネマトグラフィー(撮影賞)、そして音楽関係の3部門です。ゴールデングローブ賞では、ドラマ部門の作品賞と監督賞、それから脚本賞を受賞しています。
映画を観始めてから何分くらい経ったでしょうか。爆弾を解体するスペシャリストを演じていたガイ・ピアスが爆風に飛ばされたときには、唖然としました。普通スターが出てくると、このままで終わるはずがないと仮定して観ていますが、その後の回想シーンもまったくありませんでした。(少しネタバレで御免なさい。)
その後に入れ替わった、爆弾解体専門兵のウィリアム・ジェームズを演じた、ジェレミー・レナーが主演男優賞にノミネートされています。神経が磨り減るであろう特殊な仕事を淡々と、普通の機械をいじるエンジニアのようにこなしていく彼にも家庭があり、妻と幼子が待っているのです。
任務の終了まで後1ヶ月余りとなった、3人編成の爆弾処理班の他の兵士たちは、当然の事ながら、極限の危険は冒したくないのに、Jeremy Rennerは全くお構いなしです。ラストシーンでは、このブログでも鑑賞した、「それぞれの空に」 ”The Lucky Ones"を思い出してしまい、何ともいえない切なさを感じます。
ちなみに「ハート・ロッカー」というのは、イラクの兵隊用語で、「棺桶」を意味するのだそうです。
余談ですが、アカデミー賞の主演男優賞にノミネートが決まったとき、大抵の場合お母さんに電話をすることが多いそうですが、ジェレミー・レナーもそうしたら、電話の向こうでお母さんが叫んでいたので、何を言っているのかわからなかったそうです。そして、そのアカデミー賞授賞式のデートにはお母さんを連れていくといったら、又絶叫していたそうです。
アカデミー賞第82回ノミネートが発表される
2010.02.04 Thursday | category:Academy
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アカデミー賞作品賞のノミネートは通常5作品ですが、今年は昔に戻って、10作品のノミネートとなりました。毎年このノミネートが発表されてから、まだ観てないノミネート映画を観にいくのが私の習慣ですが、今年は10作品もあるので、まだ半分しか観ていません。うち1本は近々DVDになって出てくるので、後の4作品を劇場に行って観ないといけません。別にいけなくはないのですが、やはり、アカデミー賞の当日に、共に投票者の気分になりたいのです。以下がその10作品です。”Avatar", "The Blind Side", "District 9", "An Education", "The Hurt Locker", "Inglourious Basterds", "Precious", "A Serious Man", "Up" , "Up in the Air"
”Up"「カールじいさんの空飛ぶ家」はこのブログでも鑑賞済みですが、アニメーションにもかかわらず、作品賞の候補に挙がったということは、この映画の値打ちを物語っていますね。アニメが作品賞にノミネートされたのは、1991年の「美女と野獣」以来の快挙です。
私としては、”Hurt Locker" を押したいです。女性の監督が、あれだけの戦争関連映画を作ったことにも敬意を表したい気分です。それに、「アバター」は、脚本賞ノミネートにはあがっておらず、ここ最近脚本賞にノミネートされないで作品賞を取った映画は、「タイタニック」ぐらいな物だそうです。でも、「タイタニック」の監督、ジェームズ・キャメロンが、「アバター」も作っているので、例外は再びあるかも、というところです。いずれにしても、「アバター」と「ハート・ロッカー」は共に9部門でのノミネート。この二つのうちのどちらかになるでしょう。
俳優の一覧は、以下の通りです。
主演男優: Jeff Bridges "Crazy Heart", George Clooney "Up in the Air",
Colin Firth "A Single Man", Morgan Freeman "Invictus",
Jeremy Renner "The Hurt Locker"
主演女優: Sandra Bullock "The Blind Side”、Helen Mirren "The Last Staion",
Carey Mulligan ”An Education", Gabourey Sidibe "Precious",
Meryl Streep "Julie & Julia"
助演男優: Matt Damon "Invictus", Woody Harrelson "The Messenger",
Christopher Plummer "The Last Staion", Stanley Tucci "The Lovely
Bones", Christoph Waltz, "Inglourious Basterds"
助演女優: Penelope Cruz "Nine", Vera Farmiga "Up in the Air",
Maggie Gyllenhaal "Crazy Heart", Anna Kendrick "Up in the Air",
Mo'Nique "Precious"
常連、メリル・ストリープは何と16回目のノミネートとなりました。監督賞ノミネートで目立つのは、1991年の”Boyz N The Hood"のJohn Singleton以来、2番目の黒人監督である、”Precious"のLee Daniels監督。尚、”The Hurt Locker"のKathryn Bigelow監督のノミネートは、女性監督では4人目となるもの。
ちなみに、「アバター」のジェームズ・キャメロン監督と、「ハート・ロッカー」のキャスリン・ビグロー監督は元夫婦。作品賞と同じく、監督賞でも、元夫婦対決が見られそう。
アカデミー賞の発表は、アメリカ時間の3月7日。今年の司会はダブルで、アレック・ボールドウィンとスティーブ・マーティンが行う予定です。お楽しみに。
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